対数正規分布計算機
右に裾を引くその形。金融から工学まで、非対称な世界をモデル化する。
「普通の分布」ではない、対数正規分布
統計学といえば正規分布(ガウス分布)が王様ですが、現実世界には正規分布では説明できない現象がたくさんあります。特に「マイナスの値をとらない」「極端に大きな値がたまに出る」ようなデータです。
対数正規分布(Lognormal Distribution)は、データの「対数をとったもの」が正規分布に従うような分布です。グラフを見ると、左側に山が偏り、右側になだらかに長い裾(ロングテール)を引いているのが特徴です。
身近な対数正規分布の例
1. 金融工学:株価の変動
株価は0円以下になることはありません。また、今日100円の株が明日101円になる確率と、明日99円になる確率は、金額(差)ではなく比率で考えるのが自然です。ブラック・ショールズ方程式などのオプション価格モデルでは、株価は対数正規分布に従うと仮定されています。
2. 経済学:年収・所得の分布
一部の超富裕層が平均値を押し上げるため、所得の分布は典型的な「右に裾が長い」形になります。平均値よりも中央値のほうが実感に近いのは、この分布の性質によるものです。
3. 工学・自然科学
砕いた岩石の破片のサイズ、大気中の汚染物質の濃度、インターネットのファイルサイズなどは、対数正規分布によく適合します。「何かを掛け合わせていく過程(乗算的過程)」から生じる現象は、対数正規分布になりやすいことが知られています(ジブラの法則など)。
計算式の解説
確率密度関数(PDF)は以下の式で表されます。
ここで重要なのは、パラメータの $\mu$ と $\sigma$ です。これらは分布そのものの平均や標準偏差ではなく、対数変換された基礎データの平均と標準偏差を指します。
- 分布の平均 (Mean): $e^{\mu + \sigma^2/2}$
- 分布の中央値 (Median): $e^\mu$ (幾何平均と同じになります)
- 分布の最頻値 (Mode): $e^{\mu - \sigma^2}$ (山の頂点は平均より左に来ます)
まとめ
「平均値」だけを見ていると、対数正規分布のような歪んだデータの本質を見誤ります。平均値、中央値、最頻値がバラバラになるこの分布の性質を理解することで、リスク管理やデータ分析の精度が格段に上がります。
よくある質問 (FAQ)
Q:Excelで計算するには?
A:`LOGNORM.DIST(x, μ, σ, cum)` 関数を使います。累積確率なら第4引数をTRUE、確率密度ならFALSEにします。