せん断波速度計算機

地中の深部を探る「波動」の速さを解析。地盤の硬さを科学的に裏付けます。

解析結果

せん断波速度(Vs)とは:地盤の「硬さ」の証明

せん断波速度(Shear Wave Velocity, Vs) とは、地震波の一種である「せん断波(S波)」が媒質中を伝わる速さのことです。S波は。、進行方向に対して垂直に地面を揺らしながら進む「横波」であり。、液体中を伝わらないという性質を持っています。

地震学や土木工学において。、Vsは地盤の「剛性」を直接的に表す最も重要な物理量の一つです。一般に。、地盤が硬いほどVsは速くなり。、軟らかいほど遅くなります。日本の建築基準法においても。、建物の耐震設計を行う際の地盤種別判定に、このVs(またはN値からの換算値)が用いられています。

せん断波速度の計算式

Vsは、材料の「せん断弾性率(剛性率)」$G$ と、その材料の「密度」$\rho$ によって決定されます。

Vs = √(G / ρ)
  • G: せん断弾性率(パスカル [Pa])。変形しにくさを表します。
  • ρ: 密度(キログラム毎立方メートル [kg/m³])。重さを表します。
  • Vs: せん断波速度(メートル毎秒 [m/s])。

なぜVsを計算するのか:実務での意義

Vsを正確に把握することで、以下のような高度な解析が可能になります。

  1. 地震動の増幅特性の予測: 地震波が深い岩盤から。、表面の軟らかい土層(表層地盤)に伝わる際。、速度が急激に低下すると揺れが増幅されます。Vsのデータがあれば。、その地点でどれだけ大きく揺れるかを予測できます。
  2. 地盤の分類(耐震設計): 建築の実務では。、地表面から30mまでの平均せん断波速度(AVS30)を指標とし。、その土地が「硬質地盤」か「軟弱地盤」かを判定します。
  3. 地すべり・液状化リスクの評価: 非常に遅いVsを持つ地盤は。、地下水を含んだ軟弱な砂層であることが多く。、液状化の兆候を捉えるために役立ちます。

S波とP波の違い

地震が発生した際、最初に届くのがP波(縦波)で、次に届くのがS波(横波)です。

  • P波(Primary Wave): 進行方向に平行な振動。速度が速く、固体・液体の両方を伝わります。
  • S波(Secondary Wave): 進行方向に垂直な振動。速度はP波の約6割程度で、固体のみを伝わります。地下に液体(マグマや水)がある場合。、S波はそこで消滅したり遮られたりするため。、地球内部の調査に欠かせません。

典型的なせん断波速度の範囲 (m/s)

地層・材料の種類 速度 (Vs) の目安 特徴
極めて軟らかい粘土層 100 未満 非常に大きく揺れやすい、液状化高リスク
洪積土層(一般的な地盤) 200 〜 400 中程度の剛性を持つ地盤
風化岩・軟岩 500 〜 1000 建物支持基盤として良好
硬質な岩盤(花崗岩など) 2000 以上 地震波が速やかに通過し、増幅が少ない
鋼鉄 約 3200 極めて高い弾性を持つ人工物

N値からの換算式(実務的なアプローチ)

地盤調査の現場では。、直接Vsを測定(弾性波探査)する代わりに。、ボーリング調査で得られる N値 から推計することが多々あります。以下は代表的な換算式の例です(道路橋示方書など)。

砂質土の場合: Vs ≈ 80 × N^0.33
粘性土の場合: Vs ≈ 100 × N^0.33

FAQ:よくある質問

Q. AVS30(平均せん断波速度30)とは何ですか?
A. 地表から30m深さまでの各層のVsを、その層厚で加重平均した値です。防災マップの作成や。、特定の場所での地震保険料率の算定などに活用されています。
Q. 液体中のS波速度は?
A. せん断弾性率 $G$ が0であるため。、理論上の速度は 0 m/s です。そのためS波は水や外核を通り抜けることはできません。
Q. 密度が速さに与える影響は?
A. 式 $Vs = \sqrt{G/\rho}$ からわかる通り。、同じ硬さ($G$)であれば。、重い(高密度)ほど速度は緩やかになります。しかし。、自然界の岩石では「硬いものほど高密度」という傾向が強いため。、結果的に高密度のものほど速くなることが一般的です。

まとめ

せん断波速度を計算・計測することは。、足元の見えない地中の「強さ」を可視化することに他なりません。地震から命を守るための耐震設計から。、巨大プロジェクトの基礎選定まで。、S波の速さは常に安全のバロメーターとなります。当ツールを用いて。、物理学に裏打ちされた地盤評価を体験してください。